74th Graduation Ceremony Speech第74回卒業式 式辞

固く蕾を閉じ、例年になく厳しい冬の寒さに耐えてきた木々の芽が微かに膨らみを増し、春の息吹が漂いはじめまさに百花が咲きほころびようとするこの佳き日に、
坂戸市教育委員会  教育長 太田 正久 様
坂戸市立浅羽野中学校 校長 小林 正明 様
山村学園むらさき会  会長 田中 久子 様
山村学園短期大学   学長 野口 一夫 様をはじめ、多数のご来賓、保護者の皆様並びに学園関係者のご臨席を賜り令和6年度 学校法人山村学園 山村国際高等学校第74卒業式が厳粛に挙行できますことは、教職員一同この上ない喜びであります。
ただ今、306名の卒業生の皆さんに卒業証書を授与いたしました。
卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。
皆さんは三年前、自らの夢と希望を胸に抱き、入学いたしました。
以来 校訓である「質実」「英知」「愛敬」のもと素直な気持ちで、高い知性と優れた想像力を発揮し学習や部活動、学校行事、委員会活動に熱心に取組みました。
特に、2年生の時に開催された学園創立百周年記念祭では、先輩方とともに生徒実行委員会や各部活動において、光輝ある百年の歴史と伝統や先人の想いを次世代に継承する大役を果たしました。
こうして、知力・気力・体力を養い、一回りも二回りも成長し、明日からは、それぞれの道へと向かいます。この晴れの門出にあたり、心から幸多かれとお祈りいたします。

 

またこの間、陰に陽にお子様を育み支えてこられました保護者の皆様方にも改めてお祝い申し上げます。お子様のご卒業、誠におめでとうございます。
さて、二十一世紀に入って四半世紀が経ちました。現在の日本は国内外に多くの問題を抱え、難しい選択に迫られています。
近年の気候変動は、環境破壊や資源エネルギーの浪費による「地球温暖化」がもたらす異常気象として、私たちに警鐘をならしているのかも知れません。
さらに、原油価格の高騰、株価下落などの経済状況、少子高齢化による労働人口の減少・働き方改革など新たな課題とともに、日本の社会や経済の成長・発展を損なう状況は解決されていません。
また、国際情勢に目を向けるとウクライナ問題や中東情勢をはじめ国家間の利害対立が解消されないままの状況にあります。
パワーバランスの急激な変化、テロやサイバー攻撃など新しい脅威の出現により、これまで、安心・安全・不変と思われていたことが次々と崩れ、世界は変化の激しい不透明な時代が続くことが予想されます。
皆さんは、これらの課題解決に向け、社会の中心となって果たすべき使命を託されています。こうした大きな期待を担って、巣立っていく皆さんへ餞の言葉を申し上げます。

一つ目は、「生涯にわたり学び続ける心」をもってほしいということです。
古い知識や前例が通用しない変化の激しい時代をたくましく生き抜くためには、日々学び続けることが必要です。
学ぶことにより、確かな理解力・判断力が身に付き変化する社会へ、柔軟に対応できるようになります。既成の固定概念だけではなく前例や確実・不変と思われていたことを超えて時代や社会的背景を的確に捉え、その状況に準じた新たな情報の収集が求められます。
これからの数年は、山村国際高校で培った基礎基本の上に確かな骨格を組立てる時期に当たります。より深く、専門的な学習に取組むとともに物の見方・考え方・人生観・職業観などを確立させることが大切です。
こうした、学びの習慣こそが、変化する社会へ適応できる方法の一つです。

二つ目は、「夢や志を持ち続ける」ということです。
卒業という新たな出発に、夢や志はつきものです。しかし、夢や志は単なる自己中心的な実現であってはなりません。自分の夢や志がどうしたら人々の幸福に役立つかと言うことを常に考えていくことが大切です。
まさに、山村国際高校で取組んだ活動の全てが夢を追う時間であったと思います。
進路実現に向け、毎晩遅くまで机に向かい、演習問題や論文作成に取り組んだ日々。
新型コロナウイルス感染症の分類変更に伴い、保護者の方やお客様を迎えて、最高の笑顔で山国生らしさを存分に発揮した体育祭や紫藤祭。
マーライオン、スカイパーク展望台からの美しい夜景、ナイトクルージング、ユニバーサルスタジオ・シンガポールなど思い出多きシンガポール・マレーシアへの修学旅行。
そして、部活動では、力の限りのプレイ・演技・演奏・作品制作・研究発表などにより、多くの方を魅了するとともに、力の限りを出し尽くした皆さんの思いは、大きな拍手や歓声とともに、熱い感動と勇気を与えました。

こうして様々な活動に、真面目に真摯に取り組んだ皆さんを自慢の卒業生として誇りに思います。
夢や志の実現までの道のりは、常に平坦なものではないかも知れません。
挫けずに自分の出来る限りの努力を継続することが大切です。
例えすぐに結果が出なくとも、「人事を尽くして天命を待つ」
「天は自ら助けるものを助ける」と言う言葉があります。
一生懸命な人、誠実な人には誰かが見ていて、必ず理解者が現れ、思いや願いが叶うものです。

結びに、保護者の皆様にお礼とお願いを申し上げます。
入学以来、この三年間、ときには厳しく、ときには温かく、そして、優しくお子様を励まし支えていただくとともに、本校の教育活動に絶大なるご理解とご協力を賜りましたことに心から感謝申し上げます。ありがとうございました。
親という文字は、「立つ木を見る」とあります。三年前お預かりしました幼木が「若木」として立派に成長いたしました。自信をもって保護者の皆様へお戻しいたします。このように成長を遂げた「若木」がしっかり根を張って、より成長し、成木となるまで、お子様たちを温かく見守っていただきますようお願い申し上げます。
卒業生にとりまして「山村国際高等学校」は、生涯にわたり母校です。
諸先輩が脈々として築き上げてきました山村国際高等学校の実績と伝統を更に確かなものとし、卒業生の皆さんが母校として誇れる学校づくりに引き続き邁進することをお約束いたします。 これからも嬉しい報告や相談したいことがありましたら遠慮なくお越しください。

それでは、卒業生の益々のご健勝並びにご発展、ご臨席賜りました皆様方のご多幸とご繁栄を祈念申し上げ式辞といたします。

令和7年3月3日
学校法人山村学園 山村国際高等学校
校長 中山 達朗